全国カラオケ事業者協会


環境省より「熱中症対策の一層の強化について」

熱中症については、気候変動の影響により、国内の死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間1,000人を超える年が頻発しています。また、地球温暖化が進行すれば、極端な高温リスクも増加することが見込まれ、熱中症による被害が更に拡大するおそれがあり、熱中症対策の強化は急務となっています。こうした背景を踏まえ、政府は、熱中症対策の一層の強化を図るため、「気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律」(以下「改正気候変動適応法」という。)を第211回国会に提出し、令和5年4月28日に成立したところです(令和5年5月12日公布)。

 また、併せて、今後の政府における計画として「熱中症対策実行計画」を取りまとめたところです(令和5年5月30日閣議決定)。熱中症対策を強化するためには、政府や地方公共団体といった行政機関における取組のみならず、関連団体や民間事業者において個別の取組や行政機関との連携を進めていくことが重要です。さらに、熱中症対策実行計画においては、事業者の基本的役割や産業界との連携が盛り込まれたところです。

 つきましては、下記に記載する改正気候変動適応法の背景や熱中症予防強化キャンペーンに御理解いただき、熱中症対策の強化に御協力いただきますようお願いいたします。

1.改正気候変動適応法の概要等

改正気候変動適応法の背景・概要、施行日及び同法に基づく熱中症対策実行計画の概要は、(1)から(3)です。その趣旨・目的に御理解いただき熱中症対策の強化に御協力お願いします。

(1)改正気候変動適応法の背景・概要について
○ これまで、関係府省庁や地方公共団体等において熱中症対策の普及啓発等に取り組んできましたが、熱中症による死亡者数は増加傾向が続いており、近年は、年間1,000 人を超える年が頻発しています。

○ 「熱中症警戒アラート」(本格実施は令和3年から)の運用も開始されていますが、熱中症予防の必要性はいまだ国民には十分に浸透していません。今後、地球温暖化が進めば、極端な高温の発生リスクも増加すると見込まれる中、より積極的な熱中症対策を進める必要があります。

〇 こうした背景を踏まえ、改正気候変動適応法が制定され、同法においては、熱中症対策実行計画の策定、熱中症特別警戒情報の発表、指定暑熱避難施設・熱中症対策普及団体の指定等の新たな制度が創設されました(参考1参照)。

(2)改正気候変動適応法の施行について
○施行日
・熱中症対策実行計画に関する規定:令和5年6月1日施行
・全面施行(※) :令和6年春頃
※熱中症警戒情報、熱中症特別警戒情報、指定暑熱避難施設、熱中症対策普及団体等に関する規定

(3)熱中症対策実行計画の策定について
政府においては令和5年5月30 日、熱中症による死亡者を半減するとの目標や地方公共団体、事業者等の基本的役割等を規定した熱中症対策実行計画を取りまとめました。本計画では、事業者の基本的役割として、その事業活動において消費者等の熱中症予防につながる活動を行うことや、その事業活動に従事する労働者の熱中症防止に努めることとが記載され、また、国は、熱中症予防強化キャンペーンの実施について、業界団体や関係企業等に対し、連携・協力を呼びかけることとしました(参考2及び参考3参照)。

2.熱中症予防強化キャンペーンへの協力願い

○ 政府においては、熱中症対策実行計画に記載のとおり、効果的な普及啓発の実施として、関係府省庁の連携強化の下「熱中症予防強化キャンペーン」を4月〜9月の期間で実施することとしています(令和5年においては5月末から実施)。

○ 本年も、時季に応じた適切な熱中症予防行動の呼びかけを行っておりますので、各関連団体・各民間事業者におかれましては、行政機関が行う普及啓発等へ協力を行うほか、自らも事業活動に際して熱中症予防への呼びかけ等を実施していただきますようお願いします。

○ 特に今後、夏本番に備え、暑さに体を慣れさせる暑熱順化やエアコンの早期点検等の呼びかけ、梅雨明け後は特に熱中症のリスクが高いこと等について、関係府省庁にて作成したリーフレットを活用いただき、消費者等に対する呼びかけの協力をお願いします(参考3及び参考4「関連団体・関連民間事業者」における取組事例参照)。

3.指定暑熱避難施設への協力願い

○ 改正気候変動適応法において新たに創設された指定暑熱避難施設については、民間事業者が所有する施設においても、市区町村長と協定を締結することにより、指定を受けていただくことが可能です。

○ 各民間団体・民間事業者それぞれ状況が異なるところですが、地域の実情に照らし、指定暑熱避難施設の指定に関し、市区町村とも情報共有や連携等の御検討をお願いします。

【参考1】改正気候変動適応法の概要
政府による熱中症対策実行計画の策定
関係府省庁間の連携を強化し、これまで以上に政府一体となった熱中症対策を推進するため、現在、法律上の位置付けのない政府の熱中症に関する計画を熱中症対策実行計画として法定の閣議決定計画に格上げ

熱中症特別警戒情報の発表及び周知
他の措置とも連動した、より強力かつ確実な熱中症対策が講じられるよう、現在、法律上の位置付けのない熱中症警戒アラートを熱中症警戒情報として法律に位置付けるとともに、より深刻な健康被害が発生し得る極端な高温時に備え、新たに一段上の熱中症特別警戒情報を創設

指定暑熱避難施設制度の創設
暑さをしのぐ場を確保し、極端な高温時における熱中症による重大な被害の発生を防止するため、公民館等の冷房設備を有する施設を指定暑熱避難施設(いわゆるクーリングシェルター)として、市町村長が新たに指定し、当該指定暑熱避難施設は熱中症特別警戒情報の発表期間中に一般に開放

熱中症対策普及団体の指定
地域の実情に合わせた普及啓発により、高齢者等の熱中症弱者の予防行動を徹底するため、熱中症対策の普及啓発等に取り組むNPO 等の民間団体等を熱中症対策普及団体として、市町村長が新たに指定

独立行政法人環境再生保全機構への業務追加
独立行政法人環境再生保全機構に関連業務に熱中症警戒情報等の発表の前提となる情報の整理や分析等の業務及び地域における熱中症対策の推進に関する情報の収集、提供等の業務を追加

参考URL:「気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案の閣議決定について」(令和5年2 月28 日環境省報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_01231.html

西日本高速道路会社HP
https://www.w-nexco.co.jp/

【参考2】 熱中症対策実行計画について
参考URL:熱中症対策実行計画及び気候変動適応計画(一部変更)の閣議決定について
(令和5年5月30 日環境省報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_01675.html

○熱中症対策実行計画のポイント
・計画目標:2030 年までに熱中症による死亡者数を現状から半減
・計画期間:おおむね5年間
・推進体制:環境大臣を議長、関係府省庁の局長級を構成員とする熱中症対策推進会議において施策を推進
・関係者(国・地方公共団体・事業者・国民)それぞれの役割を明記
・熱中症対策の具体的施策
・普及啓発・情報提供の強化。政府一体となり、地方公共団体、民間事業者を巻き込んだ熱中症予防強化キャンペーンを実施
・節電にも配慮したエアコンの適切な使用の呼びかけを実施
・高齢者等の熱中症弱者のための対策につき、福祉等関係団体や孤独・孤立対策に取り組む団体との連携により見守り・声かけを強化
・学校や職場、スポーツ、災害発生時等の場での管理者による熱中症対策や、管理者がいないことが多い農作業場等での熱中症対策を強化

・地方公共団体については、
-首長のリーダーシップの下で、地方公共団体内の部局の役割を明確にし、連携・協力して、必要な対策を実施できるような庁内体制整備を促す。
-指定暑熱避難施設や熱中症対策普及団体の指定の働きかけ
-熱中症対策の普及啓発等に取り組むNPO 等民間団体を熱中症対策普及団体として指定する等、熱中症弱者に対し見守り・声かけの強化
-熱中症対策に係る地方公共団体内における庁内体制整備、事業者との連携、熱中症警戒情報の効果的な活用等について、研修会の実施
・極端な高温発生時の対応としては、熱中症特別警戒情報の指針等を策定し、特別警戒情報の発表・周知と、熱中症弱者の安否確認等の方策につき、見守り・声かけ体制や災害対策の仕組み等も参考に検討

○熱中症対策実行計画抜粋(事業者関係部分(主要部分に限る。))

第1章 熱中症対策に関する施策の基本的方向

3.関係者の基本的役割

(3)事業者の基本的役割
事業者は、自らの事業活動を行うに際して、国民や消費者等における熱中症予防につながる活動を行うよう努めるとともに、その事業活動に従事する労働者の熱中症を防止等するため、必要な措置を講じる。また、国及び地方公共団体が実施する熱中症に関する施策に協力し、連携するよう努める。

第2章 熱中症対策の具体的な施策

(略)
熱中症対策の推進や強化に当たっては、このような熱中症による救急搬送人員や死亡者の年齢や状況等に関する調査結果、個人の体質や暑熱順化等に応じた暑さへの耐性等を踏まえ、効果的な施策を策定し実施することが重要である。また、今後起こり得る極端な高温に備え、個人や周囲の人々が、暑熱による影響の受けやすさを認識し対策を講じる等、日頃から熱中症に対する備えを進めることが非常に重要である。 具体的には、日頃から国、地方公共団体、事業者等の関係者で連携し、熱中症予防行動等に関する効果的な普及啓発や積極的な情報提供を行い、熱中症警戒情報を活用し、「自助」や周囲の人々や地域の関係者等の「共助」により、あらゆる主体が熱中症予防行動をとるように促す。また、高齢者やこども等の熱中症弱者(以下単に「熱中症弱者」という。)のための対策を進め、学校等の管理者がいる場における対策、地方公共団体や地域における対策を講じるとともに、産業界との連携や調査研究等、基盤の整備を行う。

5.産業界との連携
熱中症の予防において、エアコンを適切に使用することや水分や塩分を摂取することは非常に重要であり、熱中症予防に役立つ様々な機器や飲料類等が開発されている。国は、産業界と対話を深め連携し、商品開発や普及啓発について協力を求めていく。

【具体的な施策】
○ 熱中症予防強化キャンペーン等と連携し、業界団体や関係企業等に対し、熱中症予防のための消費者等への普及啓発や、商品開発に対する協力を依頼する。<関係府省庁>
○ シーズン前のエアコンの早期点検や試運転の積極的な普及啓発を行うと同時に、業界団体や関係企業にも積極的な広報活動を依頼する。<経済産業省、環境省>
○ 職場における適切な熱中症予防行動につながる情報を示す暑さ指数計の利用を促進するため、事業者における認知度向上を図る。<厚生労働省、環境省>
○ 民間企業や行政機関が連携し、熱中症予防の声かけの輪を広げるイベント等の取組を推進する。<環境省>
【参考3】熱中症予防強化キャンペーンにおけるポスター、リーフレット等
○熱中症環境保健マニュアル(環境省2022 年改訂)
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php

○ポスター、リーフレット等は以下のサイトから御利用いただけます。
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php#manual

・熱中症予防行動/ポスター
・熱中症警戒アラート全国運用中/リーフレット
・熱中症が増えています/リーフレット
・高齢者のための熱中症対策/リーフレット
・災害時の熱中症予防/リーフレット

○救急搬送状況、熱中症予防啓発コンテンツ(消防庁)
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke04

・熱中症予防啓発ポスター
・予防啓発ビデオ
・熱中症対策リーフレット
・訪日外国人のための救急車利用ガイド

○学校教育活動における熱中症事故対策に関する情報(文部科学省)
https://anzenkyouiku.mext.go.jp/heatillness/index.html

〇熱中症予防のための情報・資料サイト(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/

〇職場における熱中症予防情報(厚生労働省)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/

〇農作業時の熱中症対策に関する情報(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_kikaika/anzen/nechu.html

・農作業中の熱中症を予防しましょう!!/チラシ
・熱中症対策関係情報集/パンフレット

〇熱中症に関連する気象情報(気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/netsu.html

【参考4】「関連団体・関連民間事業者」における取組事例
○ 熱中症対策の広報・啓発
○ 熱中症に関するイベント・講演会等の開催
○ 車内、施設内における熱中症警戒アラートに関するアナウンス
○ 構内における熱中症予防行動ポスターの掲示
○ HP 等での熱中症対策グッズ特集
○ 地方公共団体との連携