全国カラオケ事業者協会



 今回のねらいは、「値上げ交渉力の強化」さらに「重点攻略顧客への交渉シナリオ作成・実施」ということに焦点をあてます。  そこで、まず「値上げ交渉」ですが、これは顧客に負担をかけるだけのものであってはなりません。「値上げ」することで、皆さんだけでなく、顧客、さらにエンドユーザーにまで喜んでいただけるものでなくてはなりません。そのために、何をどのように提案するのか、その結果どうなるのかを明確にしておかなくてはなりません。ですから値上げだけでなく、プラスアルファのご提案まですることが必要かと思います。

■ワン・トゥ・ワン・マーケティング
 営業のひとつの手法として「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」というものがあります。広く営業することを「マス・マーケティング」といい、全ての人を対象に、同じ商品をあらゆる店舗で販売することです。ここからより絞り込んでいきますと次は「セグメンテッド・マーケティング」です。より狭い範囲の顧客を確定し、その多様なセグメントごとに満足を得られるよう、広範でバラエティに富んだ商品を提供することです。

 そして「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」。顧客1人1人を把握し、彼らと一対一で対話を続け、そして個別の仕様に従ってカスタマイズした商品・サービスを提供することです。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングを進めていくためには、セールスのR(Research=現状把握)‐P(Plan=計画)‐D(Do=実施)‐C(Check=振り返りと学習)サイクルが大切になります。  このサイクルに則って、顧客の現状や認知を知ることになります。お客様の購買動機は何か、なぜ、皆さんの会社と継続して取引きしてくれているのか。そうしたことを把握した上で、目標をどこに設定するか。ターゲットをどのようにとらえるのかを考えます。



■顧客ポートフォリオの作成
 ターゲット、つまり顧客についてですが、アメリカのGEで活用された概念に「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(略称PPM)」というものがあります。これは経営資源を最適に配分することを目的としたマネジメント手法で、製品ライフサイクルと製品製造現場における経験曲線効果の概念を元にした経営理論です。一般的な活用法としては、図表の縦軸に市場成長率を、横軸に相対的マーケットシェア(市場占有率)をおいて、事業や商品・サービスが図のどこに位置するかを分析して、その結果を基に、方向性のウェイト付けを行なうものです。

 一般的には、右上が素晴らしい花形の事業ということになります。逆に左下は、良くない事業ということになります。このポートフォリオを応用したのが〈図・1〉です。

 これを利用して、顧客の分析を行います。縦軸は顧客の「魅力度」、横軸は顧客との関係「密着度」とします。この場合の魅力とは、単純に規模であり、将来性であります。密着度とは、その企業との取引額、取引内容です。

 もっとも優先順位の高いのは、当然、右上に位置するグループとなります。問題は、次の優先順位です。右下は魅力は低いが密着度の高いグループ。左上は魅力的だけど、密着度、付き合いの薄いグループです。一般的には、右下を次のターゲットに選ぶ人が多いでしょう。つまり、魅力度は低いけれども、付き合いのある、密着度の高い顧客です。

 つぎに、左上の顧客はどうでしょう。親密度が低いので、心理的に行きにくい、あまりポジティブになれない顧客といえるでしょう。  魅力度の高い顧客とは、どういう顧客でしょうか。いわゆる「信用調査」の考え方に近いものを感じましたので、ご紹介します。

 そもそも信用調査とは、販売代金の回収や貸し倒れの危険を防ぐために、事前に顧客の状況を調べるものです。信用調査の着眼点として「7M」と呼ばれるものがあります。
○Money(資産、資金力)
○Market(取引状況、市場性)
○Man(従業員、人材)
○Machine(生産設備、機械力)
○Material(取り扱い商品、物的資源)
○Mechanism(組織の仕組み、機構)
○Management(経営幹部、経営力)
こうしたものが、魅力度の高い顧客の指標になると思います。
 魅力度の高さを皆さんの営業から、考えてみましょう。どういう顧客が魅力度が高い顧客でしょうか。

 魅力度の高さを皆さんの営業から、考えてみましょう。どういう顧客が魅力度が高い顧客でしょうか。例えば、「ママさんが綺麗」「従業員の対応がいい」こうしたお店は集客力の高いお店であり、つまりは皆さんにとっても魅力あるお店=顧客といえましょう。  一方、長く取引をしていただいているなど、継続率の高い顧客は密着度の高い顧客ということになります。

 こうした顧客の管理については、各社でさまざまな取り組みをなされていると思いますが、一般的には、ABCランクに分けて、魅力度の分類をされているのではないでしょうか。

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